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今回はミツバチの外敵と防御法についてお話しします。ミツバチにはトンボ、シオヤアブ、スズメバチ、スムシ、アカバチ、カマキリ、ムカデ、ガマ、アリなど数多くの外敵がいます。中でも壊滅的な被害をもたらすのはスズメバチで、特にオオスズメバチは大切に飼育してきた蜂群を数時間で全滅させてしまうこともあります。効果的な防御法を取り入れて、にっくきスズメバチから愛蜂を守ってください。 |
オオスズメバチはハチの中で最大で、このハチに刺されると人も命を落としかねない凶暴性を持っています。食肉性で昆虫や幼虫を餌としていますが蜜や果汁も好むため、両方揃ったミツバチの巣はオオスズメバチの格好の餌場となっています。餌の昆虫が減少する8月〜11月になると集団で巣箱を襲い、数時間でミツバチを全滅させ、蜂児も蜜もすべて奪い取っていきます。オオスズメバチのほかコガタスズメバチやキイロスズメバチもミツバチを襲撃しますが、こちらはミツバチを1匹ずつ捕まえ肉団子にして巣に持ち帰る程度なのでオオスズメバチの被害に比べれば格段に軽微といえます。 |
ミツバチを数時間で全滅させてしまうオオスズメバチは、ミツバチにとっても養蜂家にとっても最大の敵 |
オオスズメバチに襲われ全滅したミツバチの群れ |
1.巣箱の前で見張る |
巣箱の前でオオスズメバチがやってくるのを待ち構えて、網で捕殺したり、バトミントンのラケットなどで叩き落とす方法が最も効果的ですが、1日中巣箱の前に陣取っているわけにもいかないので、ほかの方法と合わせて効果的な防御策を講じてください。 |
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最近ホームセンターなどで売られている蚊やハエを撃退するための電撃ネットもスズメバチ退治用に流用できる |
2.誘引液による捕殺 |
ペットボトルにオオスズメバチが好む誘引液(グレープジュース、酒、酢、砂糖を混ぜた液。または赤ワインにハチミツを混ぜた液)を入れ、巣箱近くに設置する。多い日は100匹以上も捕殺でき効果的です。特に春先に設置すると女王蜂を捕殺できるので、秋の被害が著しく軽減します。なお、巣箱の近くに設置してもミツバチが誘い込まれる心配はまったくありませんのでご安心ください。 |
1.5リットル入りペットボトル上部の上と左右の3ヵ所に4〜5cmの切り込みを入れ、中へ押し込む |
誘引液100mlほどを入れる |
巣箱近くの木などに縛り付けたり、倒れないように地面に設置する |
スズメバチ誘引液の混合比率 |
原料 |
比率 |
量(750mlの場合) |
グレープジュース |
10 |
500ml |
酢 |
2 |
100ml |
酒 |
3 |
150ml |
砂糖 |
2 |
100g |
3.防除器の設置 |
最近は改良されたスズメバチ防除器が考案されているので、これを巣門の前に仕掛けておけば、1週間に1回程度の見回りでも大きな被害を受けずにすみます。 |
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改良が加えられ性能が向上した各種スズメバチ防除器 |
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スズメバチ被害が多発する長野県富士見町で趣味の養蜂を楽しむ渡辺忠さんは、防除器を取り付け、さらに巣箱全体を1cm目の網で覆う独自の防御法を開発した。その結果、昨秋はスズメバチの襲撃から見事に愛蜂を守ることができた。 |
4.元巣の根絶 |
襲ったオオスズメバチが飛んでいく方向を見定めて巣を見つけ出し、これを駆除してしまうのも効果的です。しかし、逆襲されて刺される場合がありますので十分な注意が必要です。元巣の駆除方法は、夜になりハチがすべて巣の中に入ったのを見計らって、ハチ用煙幕花火に火を付け巣の出入り口に差し込み仮死状態になるまで2〜3分待ちます。その後ビニール袋をかぶせて巣ごと取り除きます。なお、捕獲したスズメバチを生きたまま35度の焼酎に漬けて3ヵ月以上置くと「スズメバチの焼酎漬け」ができます。高血圧や前立腺肥大に効果があるといわれ人気を集めています。 |
「はちとり」の入手先
新井商店 埼玉県川越市問屋町
TEL.049-224-5677 FAX.049-222-8899 |
「スズメバチの焼酎漬け」は高血圧や前立腺肥大に効果があるといわれている |
運悪くスズメバチの襲撃を受けてしまった場合は、給餌して建勢に努め強群になれば越冬できますが、弱群のままなら合同します。 |

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